塗布型制振材

作業ラインに自動化をもたらし、さらに30%の軽量化を実現 塗布型制振材 サイレントガード

化成品技術部/鈴木晴久

塗布型制振材とはどのような製品ですか?

制振材とは車のフロア等の内側に装着して振動や騒音を防ぐもので、ほとんどの自動車に使用されています。当社が開発した塗布型制振材は、従来のシート貼り付けタイプとは異なり、高い制振性を持つ素材をボディーに吹付けする“塗るタイプ”の制振材です。

塗布型制振材はどのようなメリットがありますか?

独自に開発した塗布システムにより平面だけでなく、曲面や垂直面など複雑な場所にも密着性良く適用できるようになり、また制振性能も高めていることで少量の使用でも従来の制振性を保つことができることから、30%の軽量化を実現しました。
また、主材に水系エマルジョンを使用しているので有機溶剤を含まず、シックハウスなどにも配慮した製品になっているのが特徴です。
2002年にはトヨタ技術開発相も受賞し、自動車社会全体から高く評価されています。

改良のためにどのような工夫がされていますか?

塗布型制振材は、車両の軽量化やNVHの向上に貢献するために常にさらなる薄型化や高性能化を中心に開発を進めています。
しかし、薄型化と制振性能は相対するもので、制振材が薄くなれば制振性は低くなります。
薄型化をめざしつつも耐振性能を保持もしくは向上させるために、当社では素材のベースとなる樹脂を中心に改善を推進しました。樹脂そのものの制振性を高めるとともに充填材とのぬれ性を向上させる工夫をし、添加する保水剤や発泡剤等の適正量も検討することで薄型でも均等に硬化するように改善。開発材では従来の塗布型タイプと比較して膜厚30%減らしても制振性能を確保できるものになっています。

将来的な展望は?

薄型化が実現されたことでより用途が広がり、クリアランスに余裕のない部分や縦面、天井などにも使用可能になりました。そうした部位への採用を積極的に検討する自動車メーカーも増えており、今後は振動から発する車の音をさらに抑制できると大きな期待が寄せられています。