セグメント工法

廃材を75%低減すると同時にロストルクを軽減して、燃費向上・環境保全に大きく影響 湿式摩擦材 セグメント工法

部品技術部/鈴木雅登

湿式摩擦材とはどのような製品ですか?

オートマチックトランスミッションはエンジンの力をタイヤに伝える重要な部分です。その力の伝達に重要な役割を担っているのが、当社が開発から生産まで一貫して行っている湿式摩擦材です。湿式摩擦材はオートマチックトランスミッション内部で締結・解放を行うことによりギヤの変速段を構成させる部位です。

セグメント工法とはどんな工法ですか?

従来の摩擦材はベース材の形状に合わせてリング状にくりぬいていましたが、セグメント工法では、扇状にカットした摩擦材を高速にリング状に配置して製品化します。

セグメント工法には、どのようなメリットがありますか?

従来の工法では廃棄される部分が多くなってしまうことが課題でしたが、セグメント工法により材料の廃棄分が’75%低減され、コストカットにつながりました。
また摩擦材が空転する際に力をロスしてしまうロストルクは燃費を悪くする原因のひとつです。従来工法では摩擦材付近にオイルが滞留しやすく、ロストルクが多くなることが課題でした。しかしセグメント工法では、オイルの抜け道が広くなって効率的なオイル排出が可能になり、ロストルクを低減させることができました。引きずりトルクでも25%アップが実現し、燃費向上にもつながりました。

※引きずりトルク…オートマチックトランスミッション内で、湿式摩擦材が非締結時に相手材とのつれまわりにより発生するロストルク

製品化に対し、どのような工夫をしましたか?

従来の工法では、摩擦材は両面2ピースであるのに対し、摩擦材を分割するセグメント工法では、多いもので両面80ピースとなります。すべての接着性能を保証するために工法や評価方法を開発し、セグメント工法用の強度の強い材料を開発しました。またカッティングの際の生ずるケバを接着面とする独自工法を開発して、技術特許を取得し、量産化設備に反映させました。

将来的な展望は?

車の動力伝達といった重要な部分を支える摩擦材には、より高機能に開発・生産することが求められています。当社では、摩擦材の性能を高めるため、熱にも強く、より強度の強い材料の開発を進めています。またさらなるロストルク低減を目指して、形状の研究・開発なども進め、摩擦材のレベルアップによって安全性と快適性、燃費が向上するように努めています。